吾輩はヅカオタである。

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「神々の土地」の感想のようなもの

神々の土地の感想が下記の辺りで落ち着こうとしています。

 

「好き」と「大事」と「大切」は一致しないこともあるのだなと思います。

「神々の土地」に生きる人たちは好きだけどそれより大事にしているものがあったり、大切で好きでも我慢したりと簡単にはいかない。

もちろん大切なものはひとつとは限らなくて、たくさんある大事なものをその瞬間にどれを選ぶかなんて小さな差なんだろうなと思います。

自分や自分の決断が愚かだと気付いていても選んでしまうこともあるのですね。自分が間違っていると考えることは出来ても止まることはできない人間の弱さ、悲しさ、それはひょっとすると勇気なのかもしれません。

 

ドミトリーはロシアやオリガを大事に思っていたけれどイリナが好きだった。

イリナはドミトリーを好きでも止めなかった。ロシアもアレクサンドラも大事だった。きっとドイツだって大切だった。

フェリックスはそう思うとまっすぐだった。けれどドミトリーを止めたくともドミトリーの逃げないという決断を優先する。

オリガはドミトリーのことが好きで、家族が大事で、愚かだと分かっていても進む。賢い人でした。

 

皆の考えや行動が複雑で、その複雑さが生々しいなと思う。

気持ちは単純じゃなくて一筋縄でいかないけれど、客席で観ていて分かりにくさはない。ああ、そういうこともあるよね、と思える。

大劇場の外の現実での気持ちだって単純じゃなくて一筋縄ではいかなくて、複雑で、ドミトリーたちの選択もそういうこともあるよねと納得できる。

もっとうまく立ち振る舞えたろうにと思ってしまうけれど、懸命に生きた彼らが愛おしいです。

愛おしい人たちのお話です。

 

あと、観ている間はあまり朝夏さんの退団を意識することはないのですが、落ち着いて歌詞を読むとめちゃめちゃ退団やんけ……と驚きます。上田先生の技巧に驚きます。

そして歌詞から、「神々の土地」の主役はロシアの土地であり、宝塚大劇場であり、宝塚歌劇であり、すべてのタカラジェンヌではないか?と思っています。

あの人のことも私が客席にいたことも大劇場だけは覚えていてくれたらな、と願ってしまいます。