米寿祝い@TAKARAZUKA
数年前、祖母の米寿祝いにステージスタジオで写真を撮りました。今となってはどうしてそんなことをしようと思ったのか不思議ですが、そのときのことをぽつぽつと。祖母は宝塚が好きという訳ではないのですが、よくリビングで私が宝塚を見るのに付き合ってくれていました。
本当にどうしてそんな流れになったのかは不思議ですが、米寿のお祝いに写真を撮ろうとステージスタジオへ。
予約時にドレス(種類にもよる)であれば、中に椅子を入れて撮影可能ということと介助をする母も一緒に入場可能ということを教えていただき安心して臨むことができました。
私はせっかくなのでと上限の3着までよくばり、祖母はベルばらマリーアントワネットの赤いドレスにしました。マリーアントワネットとオスカルでツーショットをお願いしました。
まずはお互いに笑いをこらえつつ、お化粧を施していただきました。あれ本当にすごいですよね。大きなパフ2枚で粉まみれになったのがおかしかったです。
私はドレス2着からオスカルの順だったために途中で部分的にお化粧直しをしていただきます。
眉の形を変えて、アイシャドウの色を変えるとそれだけでも結構変わるんだなと思っていましたが、最後に赤い口紅を塗った瞬間、完璧に男役になりました。
男役の魂はこの赤い口紅にあると本能で感じました。
祖母も座っているとはいえ、あんなに重いドレスと鬘を付けてよくがんばっていました。1週間前には「こんなおばあちゃんがドレス着ても……」と弱気になっていたのが噓のようでした。前日に「マニキュア塗った方がいいかな」と言ってきただけのことはある(私が塗りました)。
約60歳差のオスマリが爆誕しました。
出来上がった写真はいつもの面影のない少し小さめな(椅子に座っているので)マリーアントワネット祖母と男役をするにはスタイルが足りないオスカルの私。
いつ何度見ても笑えます。
撮影中はマントを持つ手がしんどくて、サーベルの位置を維持するのがしんどくて、もう一生分楽しんだと思っていたのに、今はステージスタジオの貯まったスタンプカードを見て、次はいつ行こうかと考えている次第です。
祖母と時たま写真を見返しています。
2022年夏 「心中 恋の大和路」を観た話
幸運にも「心中 恋の大和路」を観ることができました。1年前のことなのはご容赦ください。
暑い夏の公演だったにも関わらず、最後の場面はまごうことなく吹雪いていました。
和希さん狂った演技上手すぎじゃないですか?新公ルキーニのときも本当に狂ったかと思ったけど、この1幕ラストはその比じゃなかった。ほんとすごかったです。あの金貨がどこから出てきているのか分からなくって戸惑いました。和希さんもすごいけど、あの場面にいた皆すごかったよ。名場面ってこういうことを言うんだろうと思います。
関西に住んでいる私には馴染みのある地名が多く、忠兵衛と梅川ちゃんが逃げる道のりを思い浮かべながら観ました。
最後の場面は画としてなんとなく知っていたのですが、実際に観たあの場面は本当に美しかったです。これも名場面だと思いました。
カチャさんの八右衛門が無茶苦茶良かったですよね。
忠兵衛と友でありながら、八右衛門の方が少しお兄さんで忠兵衛が日々甘えて過ごしていたんだろうな、と思わせる和希さんとカチャさんのお芝居でした。
これはきっと壮さんと未涼さんのお芝居だと違っていたんだろうなと。
夢白ちゃんの瞳が息絶える寸前きらりと光ったんです。愛を遂げられた安堵なのでしょうか。それはただ単に涙が照明を反射した、ということではあるのだけれど、映像では分からないし、客席にいても毎回見られるものではありません。これこそが生の演劇の醍醐味だと思いました。
そんな瞬間を味わえてしあわせでした。
和希さんと言えば、まずダンスと言われることが多いのではないでしょうか。そのダンスを封じてもなおこれだけのことができるのがすごいです。
まぁ、全部できる方なのですが。
暑い日でした。
毎年夏になると「ハッスルメイツ」を観られたことを思い出します。
楽しくて嬉しかったあの公演。
「心中 恋の大和路」を観てこの名作、名場面を和希さんで観られて良かったと思いました。
楽しいだけのお話ではありません、苦しい悲しい、もちろんそれだけではないけれど。
もう楽しいだけではいられない、そんな和希さんのポジションにも思いをはせてしまうような公演でした。
轟悠様と私
青天の霹靂、というのはこういうことを言うのだろう。
2021年3月17日、その日のことはよく覚えています。いつものように日課の16時過ぎのホームページのニュースコーナーの確認をして、信じられない文字たちでした。轟悠様の退団会見が翌日にあることの発表。他の方と同じくショックと大きな衝撃を受けました。
私が男役のことを男役としてかっこいい!と初めて思ったのは轟悠さんでした。
2014年「The Lost Glory」の緞帳が上がるとそこにはたったひとりの轟悠さんが。もちろんその時はお名前なんて分かっていませんでしたが、ハットに指を沿わせ脱ぐ所作の美しさに引き込まれました。ハットを脱ぐその所作だけで強烈に男役に引き込まれました。
今でも思い出すのはその冒頭です。
お話が始まれば、え?宝塚歌劇なのにほんものの男性がいる?と動揺しましたね。当時初心者の私、轟悠と柚希礼音がほんものの男性なのかと疑いました。途中で思ったのはほんものの男性よりも美しいということです。
双頭の鷲で隣の席だった方、長く宝塚歌劇を観ていて轟悠さんのファンということでした。
タカラジェンヌの退団発表があって、思い出すのはそのすてきな舞台姿もですが、それ以上にその方のファンの方のことかもしれません。
あの方は穏やかに過ごすことが出来ているのでしょうか。
トップオブトップとして、各組を回る中でどうしても組子ファンから良い意見だけではなかったことも知っています。
ただ、轟悠様がいたからこそ宝塚歌劇の世界に引き込まれた者もいることをここに残しておきたいです。
本当にタカラジェンヌ、男役のお手本だったと思います。
どうかこの先もしあわせにと願うばかりです。
さおちゃん、美月悠さんのこと
ここでは美月悠さんのことをいつも呼んでいるようにさおちゃんと書かせていただきます。
さおちゃんのことをいつ認識したのかもう覚えていませんが、いつの間にか宙組観劇の楽しみのひとりでした。
すらっとした姿で燕尾のときのかっこよさはピカイチで、そうかと思えばニカっと笑うさおちゃんのことが大好きでいつも楽しみでした。
Bow Singing WorkshopのMCコーナーで上手袖からにっこりと桜木さんに笑顔を向けながら出てきたさおちゃんの優しさが好きでした。
本当にもう全部好きだったんですけど、ふたつだけ。
「パパ・アイ・ラブ・ユー」で轟悠様の横でダンスをした瞬間、私も夢が叶った!と思ってとっても嬉しかった。念願の轟悠様公演に出演のさおちゃんは対等にお芝居もダンスもしていました。
アナスタシアのゴリンスキーを演じているさおちゃんを見たときにひとりのタカラジェンヌが男役を極めたところを目撃した、と思ったんです。
立ち姿のかっこよさはもちろんのこと、佇まいやただ舞台を歩く姿、睨みつけるまなざしに、いろいろな物語やゴリンスキーさんの性格が伝わってきました。いや、理屈なしに単純かっこよかった。
ゴリンスキーさんはグレブさんを心の底から信用していなくて、任務を任せつつ自身で見張っているような気がしました。グレブがロシアに戻ってから無事過ごせているのか、心配になるゴリンスキーさんでした。
これからの宙組を支えるひとりになるんだろうなと思っていたので、今回での退団はあまりに早すぎてショックが大きかったです。同時に、もしかしたらさおちゃんも男役を極めた、と思えたのならそれはしっかりと客席に伝わっているよと伝えたいです。
宙組はどなたも好きですが、さおちゃんを見ているときがいちばん宙組を見てる!という実感が湧く、そんな男役、タカラジェンヌでした。
消えたチケット
私の消えたチケットの記録、この国に何が起きたのかの記録。忘れてはいけないことだと思うので。
随時追加します(したくないけど)。
公演中止
星組「眩耀の谷/Ray」2020年3月上旬
宙組「壮麗帝」2020年4月
「モダンミリー」2020年4月5月
及川光博ワンマンショー「SOUL TRAVELER」2020年6月
「モーツァルト!」2021年6月
「メリリー・ウィーロール・アロング」2021年6月
「レ・ミゼラブル 」2021年9月
星組「めぐり会いは再びnext generation/Gran Cantante‼︎」2022年4月
(余談ですが、阪急梅田で宝塚行き急行に乗り、梅田を出た瞬間歌劇団からのLINEで知りました。楽しみにされていたのにごめんなさいね、と言ってくれた阪急の駅員さんありがとうございました)
「Light it Up」(NiziUライブ)2022年7月
月組「グレート・ギャッツビー」2022年7月
「モダン・ミリー」2022年9月