吾輩はヅカオタである。

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ロミジュリと私とタイミングの話

私の本当の初観劇の話です。

「初めて観た宝塚歌劇は100周年のベルサイユのばら凰稀かなめさんのオスカルがただひたすら美しかった」と常々話している私なのですが、よくよく思い出すとそれから遡ること数年、雪組の「ロミオとジュリエット」(音月桂さま主演)が私の初観劇でした。


友人にタカラヅカって見てみたいな〜今度ロミオとジュリエットするらしいよ〜(新聞の広告で知った)見たいな〜とふと言うと、「じゃあ観に行く?チケット手配するよ」と言っていただき、あっという間に宝塚行きが決まりました。

若い私は友人とふたりで兵庫県宝塚市まで行くというのは遠くってすごいことだとどきどきしていたのを思い出します。初めての宝塚大劇場はとても大きくてすごかったです。幕間休憩に謹賀新年の看板と写真を撮りました。


お正月早々に行ったので座席番号で抽選会がありました。座席番号で当たればスターさん方のトークショーにご招待、1度で4名分のチケットが当たるというものだったと思います。

幕間休憩に念のため抽選結果を確認しに行く私たち。当たらなかったね〜なんて言いながら席に戻ろうとすると、知らないお姉さんに「私2枚あれば良くて2枚余ってるからどうぞ」って声をかけられてチケットを渡されたんですよね。若い私は突然のことに驚き、お姉さんからトークショーのチケットを受け取ってしまいました。本当にびっくりした。どうも私たちが残念そうな顔をしていたのでしょう、そんな子に声をかけてそっとチケットを私優しさ、当たり前のことのように気取らない姿、宝塚のファンの人ってすごい!!とタカラヅカのことを何も知らない初観劇の私には衝撃でした。


肝心のロミオとジュリエットのことは寝ていたため全く覚えていなくて、、、、

なんとなくタカラヅカすごい〜と思っていますが。今思えば音月桂さまをきちんと見たかったし、ここでづっくんに出会っていたし、未涼亜希さんはワンオブ在団中を見たかった方です。

今回のロミジュリを観ても全く当時の記憶は蘇らずでした。あれだけ楽しみにしていたロミジュリ、何をしに行ってたんだ、、、と疑問に思います。記憶になさすぎて初観劇はベルばらと言いがちです。


それから私の初観劇ベルばらまで少し時間はかかりますが、あの日宝塚歌劇ってすごい!と思った気持ちと宝塚ファンの方ってすごい!と思った気持ちはずっとありました。なんなら連れて行ってくれた友人もすごいなと。


宝塚を好きになるか、好きになれるかというのは人生のタイミングもあって、初めて宝塚を観たときとそのタイミングは一致しないこともあると自分の体験や周りを見ていてもそう思います。私の人生のタイミングはベルばらでした。


宝塚歌劇好きになって、タカラヅカが好きという話をすると「1回くらい見てみたいと思ってる」という人と「へえ〜(興味なし)」という方に分かれます。私は当たり前に見てみたいなという漠然とした気持ちがずっとありましたが、宝塚歌劇に興味を持てること、見てみたいと思うことがある種の才能だと思うようになりました。

もし、宝塚を見てみたい、と思う気持ちがあれば、その才能を活かして一度劇場に行ってみてほしい。好きになるかハマるかは約束しませんが、損をしたと思うことはないでしょう。

「1回くらいタカラヅカ見てみたいんだよね〜」と口に出すことから始まる人生もありますので。


平成最後の夏

後世の皆さんのために書いておくと生前退位が決まり「平成最後の夏」というフレーズが流行った2018年もとい平成30年夏でした。

「平成最後の夏だから、楽しまなきゃ!」「平成最後の夏だし、どこかにいこう!」ましてや「平成最後の夏だから、何かしなきゃ!」と浮足立っていた気がします。平成最後の秋も冬も、少しの春もあったはずなのに、「夏」が一番多く言われた気がします。大人になると高校生最後の夏というような何かが起こりそうな、何かを成し遂げないといけないような、そんな甘酸っぱいことばには出会わないからかなとあれから日が経って思います。だからこそ、人は「平成最後の夏」ということばに浮かれ、酔いしれたのかもしれません。


もう3年も前のことになるんですね。

私の平成最後の夏は山も海もお祭も何も夏めいたことはなかったけれど、私の好きな人の主演がありました。


とてもしあわせでした。

どの場面を切り取っても和希さんがいる、和希さんと20周年を迎えた宙組のための演目でした。

宙組の20周年を祝う演目をそらさんが担えたこと、本当にしあわせに思います。

大好きな明日へのエナジーを和希さんが真ん中で観られる。数々のトップさんが歌い踊ったポジションに和希さんがいました。

私の中に強くあるのは朝夏さんのシトラスの風3でしたが、それとともにバウホールで観た和希さんの明日へのエナジーも強く残っています。


瑠風くんとまっぷーさんが通路すぐ横ではない私にまで手を伸ばしてくれました。

肝心の和希さんが近くにいらしたとき、私は怖気づいて手を伸ばせずにいました。

キッチュもあの始発で並び立ち見で見たかつての夏を思い出しました。

あおいさんに目線をいただきました(いちばんハッスルだった副組長あおいさん、まさか宙組で見られないなんて!)。

ボヘミアンラプソディ、あれすごくなかったですか?すごかった。


最後の黒燕尾も、和希さんがもちろん真ん中で、本当にありがたく、しあわせな公演でした。

こんな当て書きのショーを作っていただけるなんて。まるでまるで、、、、、


和希さんのお茶会に行きました。

自分でお茶会に行きたいですとお手紙に書き、申し込んだのは初めてでした。

たくさんの人がいて、私は一番後ろの列でした。

正直に恥ずかしげもなく残しておくと、たくさんの方に愛されていて私なんかいなくても大丈夫だなぁとよく分からない感想を持ったことを覚えています。

充実と共に、興奮を覚すため旧宝塚ホテルから宝塚駅までゆっくりと歩きました。

宝塚大橋を渡り大劇場前を通った時に太鼓の音のようなものが聞こえました。周りの人達も何の音だろうかと周りを見回していると武庫川で花火が上がっていました。わぁ、と感嘆の声が漏れながら見知らぬ人たちと見上げる花火はとても美しく、和希さんは花火までも私に見せてくれる方なんだと思いました。


何もないと思っていた夏にたくさんの感動をいただきました。まさかの花火も。


あの平成最後の夏やハッスルメイツ公演を思い出そうとすると、どうしてか、何よりも先に思い出すのはいちばん愛している劇場越しにみたあの花火です。


みつるくんへ

こんな風に休演になるなんて思ってもみなかった。

とうとう私は星組公演を観る機会を劇場で永遠に失ってしまいました。劇場で。

申し訳ないけれど配信なんてと思っていました。それでもみつるくんの最後の姿を見られないことが耐えられなくって、一応と配信のチケットを買いました。

私が見たのは東京2日目の公演でした。ことばにするのに時間がかかって今日はもう千秋楽です。


みつるくんが「僕はあなたの太陽」って歌ってくれたのがすごくすごく良かった。

他の皆さんが「あなたは僕の太陽」って歌う中でみつるくんは「僕はあなたの太陽」って歌ってくれました。

本当にその通りで、みつるくんの舞台姿から元気だったりときめきをたくさんもらっていて、その通りだよって思いました。


どなたの退団公演でも私が言いたいのは今までの感謝だったりあなたがどれだけすてきだったかであって、舞台上のあなたがどれだけありがとうと言おうとも私はそれ以上のありがとうを返したくて。

でも客席の私にはたくさんのありがとうを返す方法がないんですよね。


今回みつるくんに「僕はあなたの太陽」と歌ってもらったことが「客席のあなたたちにタカラジェンヌである僕が大切に想われていることは分かっているよ」と歌われた気がして、伝わったなあって嬉しくなりました。

ご贔屓さんにそんな風に歌われたら、私はきっと涙で前が見えなくなってしまう。

銀橋を渡りきる最後の最後までみつるくんを見届けたかったけど、配信ではそれは叶いませんでした。見届けたかったなあ。


初めてみつるくんを見たのは『オイディプス王』です。私は通路沿いのお席だったのですが、開演して少しすると遅れて来た人が結構な音を立てながら入って来て内心静かにしてほしいなあと思っていたら、それがみつるくんでした(演出だった)。すぐ横をすごいスピードで駆け下りて舞台に上がったみつるくんを忘れられません。

なんだか残しておきたくなったので。


世界の彼氏と呼ばれるのはみつるくんだけです。今までありがとうみつるくん、華形ひかるさん。

フライングサパを観に行きました

毎日不思議な夢の中にいるような気がしています。

現実なのか分からないまま日々を過ごしています。


フライングサパ観てきました。

観劇したよ、と明るく言えない世の中に辟易としています。約7か月ぶりの劇場でした。

久しぶりの観劇が大好きな宙組でとっても嬉しかったです。

相変わらず、真風さんも芹香さんもかっこよくて、まどかちゃんはかわいくって、すっしぃさんがいちばんかっこよかったです。

ほぼセンターで前の席が空いていてとても見やすかったです。


ひと席空けて座ることは、どうしてもこの世界の状況を思い出させました。

今の状況を知る前と今では「フライングサパ」を観た感想は違うものになってしまっていて。もう戻れません。

ただ、私が宝塚歌劇宙組やミュージカルを好きになる前にも戻れません。劇場にわくわくする私はずっとそのままです。


もうひとつ。


今まで失ったチケットのことばかり考えていましたが、これからは観れたもの観れるものを大切にしようと思いました。

みつるくんにお別れを言って、礼さん舞空ちゃんのトップ就任が楽しみだった「眩耀の谷/Ray」

家族で観に行く予定だった「はいからさんが通る

ずっとずっと楽しみにしていたまぁみりの共演!「モダン・ミリー

ずんさんに心からおめでとう、和希さんのお髭に美しいららちゃん、執念でチケットをゲットした「壮麗帝」

久しぶりの劇場四季にわくわくしていた「パリのアメリカ人」

毎年の恒例行事「及川光博ワンマンショー2020」


全部本当にとっても楽しみでした。思い出として手元にあるチケットは大切に保管しています。観たかった!観たかった!!観たかった!!!!すぐに切り替えられないし、永遠に失ってしまった公演なのでやっぱり言ってしまうこともあるけれど。なるべく控えます。

そう思わせてくれたのは宙組の公演で生の舞台の楽しさを再確認出来たからです。

ありがとう。一生忘れられない観劇日がまた増えました。

慣れないさみしさ

宝塚歌劇団は本来空っぽなのだと思う。
タカラジェンヌの彼女たちが集まるシステムの名前が“宝塚歌劇団”なのであって、そこに在籍している方々は流動的でいつだって同じではない。
からっぽだからいろんな人が来る。
でも、人が増えるばかりではすぐに溢れてしまう。
退団はお約束なのだ。

入る彼女たちも、観る私も最初から分かっている。
同じ名前であってもいつだって同じではないのが宝塚歌劇団だと分かってはいても。
分かってはいても。

 

今日も思い入れのある生徒さんの退団が発表された。

 

観ているこちら側の私はいつだって置いて行かれるのだ。
このさみしさには慣れることはできない。
大好きな人たちが去っていく世界。
花は散り際が美しいとは言うけれど(そして、違わず退団を控えた彼女たちは美しいのだけれど)、ひとつとして同じ花はない。
愛していた花がいなくなったら、何を愛せばいいのだろう。
違う花を愛でればいいのだろうか、それでも埋められない心があるのだけれど。
あなたのいない、あなたの組を観る、こちらの気持ちにもなってくれ。

こんな思いをするのであればもう観ない、と思ったこともある。
それでも劇場に行ってしまっていた。

今まで観たい公演はどうにか観てきた。
本当に観たい公演は気合いと執念でどうにか、どうにか観てきた自信はある
チケットが手に入らなかったものはそこまで情熱がなかったか、観るタイミングが今ではなかったものだと思うようにしている。
だから、過去の公演に対して観たかったなとは思わない方だと思うけれど、いまだに観たかったなと思うのは『燃ゆる風 軍師 竹中官兵衛』です。

 

今回のチケットは取っていない。
このさみしさを乗り越えられれば観に行けるのだろうか。
あの人の最後の姿を観るさみしさに耐えきれず、あの人の最後の舞台姿を観られないかもしれない、と今は思う。