吾輩はヅカオタである。

名前はまだない。

あの日

初めて宝塚歌劇を観に行った日のことはよく覚えています。私が初めて観た宝塚歌劇は2014年宙組の「ベルサイユのばら」でした。
オープニングの歌い継ぎにちょっと付いていけないかも、、とドキドキし、その後はストーリーが始まって安心しました。ペガサスにはとても驚かされました。

第一幕でとてもすてきな方がいらっしゃいました。
上手袖・花道での立ち姿のかっこよさが印象的でどなたなのだろうか、と幕間休憩に必死でプログラムを見ました。

 

そのすてきな方が 朝夏まなと さんでした。

 

あさかまなと、あさかまなと さん、と何度もお名前を確認し、何度もプログラムの写真を見ました。

第二幕はあれが朝夏まなとさんかな、あちらが朝夏まなとさんかなと思いながら見ていました。今思うとあまり精度はよくありませんでしたが、朝夏さんを見てはすてきだなと思っていました。

朝夏まなとさんは
私が初めて名前を覚えたタカラジェンヌさんです。
私が初めて好きになったタカラジェンヌさんです。


あの時には朝夏さんがとても尊敬のできるすてきな方だとは存じませんでしたし、こんなにも好きになるとは思いもしませんでしたが、あの日から全て始まったのだと思います。


いつかは今日の発表のことをあの日は、と振り返られるようになるのでしょうか。
いつか、2017年11月19日のことをあの日はと思うようになるのでしょうか。

 

たぶんそうなるのでしょうけれど、私が朝夏さんを初めてお会いした日は始まりでしたが、朝夏さんが退団される日は全ての終わりではありません。

ともかく、あの日まで応援するだけです。

 

 

美しいもの

とても美しいものを見ました。


朝夏さんと実咲さんのデュエットダンスが大好きです。
先日、私にとっては最後の王妃の館/VIVA FESTAを観に行きました。
実咲さんが大劇場に立つのを見るのは最後でした。

スモークが焚かれていて、お二人が回るたびに揺れていました。
朝夏さんと実咲さんが顔を見合わせ微笑みあうお二人が生む雰囲気が優しかったです。
優しい空気に包まれ、夢のような時間を過ごしました。
実咲さんが踊っていると朝夏さんがまっすぐ実咲さんの方に歩いて合流し一緒に踊る振りが大好きです。

まぁみりのリフトはとても長いです。
回り始めて、美しさに「わあ」と言葉が出ます。
リフトに拍手をしてそろそろ終わりかと思ってもまだまだ続くリフトに再び「わあ」と言ってしまいます。
永遠に回り続けるかのような美しいリフトです。

この永遠の間にTOP HATや王家に捧ぐ歌のデュエットダンスも思い出します。プレお披露目とお披露目の大事なしあわせな演目です。とてもしあわせだったこと、今目の前で繰り広げられるしあわせにただ感謝します。

 

永遠のようなリフトもゆっくりと終わっていきます。
朝夏さんと実咲さんのデュエットダンスは宝塚大劇場でもう見られません。
でも、まぁみりのデュエットダンス、まぁみりのリフトに見せていただいた美しい夢からはずっと覚めないでいます。

私の大好きなデュエットダンスです。
これからもずっと大好きなトップコンビです。

 

 

シガレットケースが主人公 ※ネタバレ有

グランドホテルおとぎばなし
「きんいろのシガレットケース」

 

昔々、ベルリンのホテルに泊まっている若者がいました。
彼はハンサムな伯爵でしたが、お金はありませんでした。
伯爵は金色に輝くシガレットケースを持っていました。
その金色のシガレットケースは宿泊客やホテルで働く人々の間で噂になるようなすてきなシガレットケースでした。

 

ある日、ひとりのフロント係がすてきなシガレットケースですねと伯爵に言いました。
伯爵は君に渡るように遺言を書いておくよと笑っていました。
シガレットケースは「伯爵はいいかげんな人だなあ」と思いました。

 

伯爵はお金が必要でした。
友人になった死にかけの男がこれは君の分け前だからとお金を渡そうとしてきます。
願ってやまないお金が手に入ることになったのですが、伯爵はお金を恵んでもらうということを善しとしません。
お金を借りる代わりにシガレットケースを担保として友人に渡しました。
シガレットケースは「少しの間違う人に持たれるのもいいかな」と思いました。

 

その夜、ホテルはいつもより慌ただしい雰囲気でした。
朝になると死にかけている男は悲しい目をして、金色のシガレットケースをポケットにしまいました。
どうやら伯爵は死んだということをシガレットケースも知りました。
シガレットケースは「この人に持ってもらうのもいいかな」と思いました。

 

ホテルを出る前に死にかけの男はひとりのフロント係と話しました。
そのフロント係の子どもがようやく生まれたそうです。
それじゃあ、と死にかけている男はフロント係に金色のシガレットケースをプレゼントしました。
死にかけの男はお祝いのために贈れるようなものはそれしか持っていなかったのでしょう。
フロント係はとても感激していました。
宿泊客やホテルで働く人々の間で噂になるようなすてきなシガレットケースが自分のものになったのですから。
シガレットケースは「この人が持ち主になるのか。思ってもみなかったことがおこるんだな」と思いました。


昔々、ベルリンにあったホテルのお話です。

今は誰が金色のシガレットケースを持っているのでしょうか。

昔々、ベルリンにあったホテルのお話です。
そのホテルはグランド・ホテルといったそうな。

 

 

新年のような気分で

しあわせがたくさんあった1年だったなと振り返って思います。
新年みたいなことを言ってしまいました。
たくさん観に行って、一昨日には宙組『王妃の館/VIVA!FESTA!』の初日も観られて、1年前には思いもしなかった楽しいことがたくさんあったなと思います。

美しくはともかく、私は清く正しく宝塚歌劇のファンでいられているでしょうか。
どうしてあの方たちが歌っているだけで、踊っているだけで、微笑んでくださるだけでしあわせな気持ちになれるのか分かりません。タカラジェンヌの皆さんが舞台に立ってくださっているだけでとてもしあわせだということを忘れずにいたいと思います。
どの舞台も大切に観ていきたいです。

そういえば小中学生の頃、何かを観た感想を書くのがとても苦手でした。
舞台そのものは楽しかったですが、音楽会の感想、芸術鑑賞会の感想に何を書けばいいかわからず苦痛でした。文章の少なさを大きな字で誤魔化していたのを覚えています。
宝塚の感想を読み返しても何もいいことは書けていないですが、楽しく感想をかけることもあるのですね。
宝塚歌劇を好きになって得たことのひとつです。

 

2年目の応援するスタンスということで、特に実のない話でした。

 

愛希れいかさんの背中

2017年と月組公演の初日早々に「グランドホテル」「カルーセル輪舞曲」観てきました!
劇場で観ていたときから楽しかったのですが、帰ってからじわじわきますね。特にグランドホテルが。
運転手かっこよすぎ~ 支配人かっこよすぎ~というのは一旦横に置いておいて今日はエリザヴェッタ・グルーシンスカヤ、愛希れいかさんについて語らせていただきます。
お話の結末について触れています。

 


エリザヴェッタは駅に行った後どうしたのだろうと考えてしまいます。

愛する彼は来ない、彼女の希望だった男爵は来ない。ラファエラは教えてくれないし、たぶん誰も教えてくれない。エリザヴェッタを襲う絶望を想像しては悲しくなり、彼女は踊れるのかと心配になります。

敬愛する気持ちを込めてエリザヴェッタと呼ばせていただいているのですが、彼女すごくチャーミングですてきな女性でしたね。男爵が見とれるのも納得の美しさなんですけど、デコルテの痩せ具合から過ぎた39年と39ヶ月の年月も感じさせられました。ただ、カルーセルのときの愛希さんのデコルテにそんなものは微塵も感じないので、演じるって本当にすごいなと思います。

腕と脚が引き締まってきれいな筋肉をいつも見せてくれる愛希さん。舞音ではきれいな腹筋も披露してくださいましたね。考えれば辿り着くはずだったのですが、まさか背中にも筋肉がしっかりと付いてらっしゃるとは。
きれいなバレエのお衣裳でしっかりとした背中の筋肉を見せられると思っていなかったので目が離せませんでした。約4年のトップ娘役として培ってきたものを背中で見せつけられた気がしましたし、エリザヴェッタの20年ものバレエ生活を背中で教えられました。努力、お稽古、宝塚人生が詰まった美しい背中でした。あんなに背中で語る娘役さんは初めてです。
いろんなことがあって、それを乗り越えて舞台に立っているのだなと思いました。愛希さんとエリザヴェッタが重なって見えて尊敬と感謝が沸き上がってきます。愛希さんもエリザヴェッタもお二人ともとても美しかったです。

エリザヴェッタはどうなったのだろうか、ということに話は戻ります。ずっと考えた結果、私個人の希望としては愛する彼が来なかったことも背中に負ぶって踊り続けてほしいなと思います。背負う、もしくは皺のひとつにして人生を進んでいってほしい、そう思います。彼はもう来ないけれど、「踊りたい」を引き出してくれた彼を忘れるでも引きずるでもなく生きる彼女を見たいと思うのはエリザヴェッタファンの自分勝手ですね。でも、あの背中なら1つくらい荷が増えても負けないと思います。

愛希さんの背中からそんなことを考えました。